下田ひかりは、2025年12月13日から日本・軽井沢の軽井沢ニューアートミュージアムで、新たな絵画シリーズを発表します。今回の展示は、同館のホワイトストーンギャラリーでの初の本格的な個展であり、同美術館での2回目の展示となります。最新作《傷つき、壊れた者たちへ》は、現代世界の混乱や感情的なドラマを見つめ続ける中で、下田の表現が大きく進化したことを示しています。
ホワイトストーンギャラリーでは、12月13日に下田本人が出席するオープニングレセプションが開催されます。下記で作品の一部を先行公開!作品に関するお問い合わせは、[email protected] までご連絡ください。
日本のマンガやアニメの鮮やかな美学に影響を受けた現代アーティスト、下田ひかりは、色彩豊かでポップな視覚表現を通して現代社会の課題を探求します。本展では20点の作品を展示。これまで取り組んできた「人生の苦悩や孤独」を描いた作品に加え、新たに「金継ぎ」という概念を取り入れた作品も登場します。金継ぎは、割れた器を金で修復する日本の伝統技法です。
下田ひかり アーティストステートメント
うつ病になり、絵が描けなくなって2年、何のきなしに金継ぎを趣味で始めた。それは樹脂を使って行う簡易的なものだったが、壊れたものを直す作業が楽しかった。
金継ぎの練習のためにわざと器をハンマーで割る事もある。その行為は、誰かを傷つけてしまったような罪悪感を持つ。取り返しのつかない事をしてしまった、あの焦りや後悔。そしてその壊れた器を、今度は自分で直していく。ものによっては元よりもより良いもののように見える事もある。
器の壊れ方は様々で、直ったあとの姿は唯一無二のものに変わる。
私は今まで、生きる苦しさや孤独を抱えながらも生きていく事をテーマとして描いてきた。この苦しさを救うのは誰か。結局は死であったり、自分自身が耐えて変化していく事ではないか。世界では絶えず争いが続き、それは現実でもネットでも深い分断を生み続けている。どうしたら救われるのか。答えは出なかった。
テレビで争いのニュースを見つつ金継ぎをやりながら、「直していけばいいんじゃないか」と思った。
壊れたものは元に戻らない。傷付いた心も、体も、人々の関係も、多分なかった頃に戻る事はない。けれど、違う形に直していく事はできるんじゃないか。もしかしたら、それが救済の一つの形なのではないか。
そう思い、今回は今まで制作してきた苦しみの渦中にある作品と、金継ぎを絵に概念的に投影させた作品を並べる事とした。
タイトルの「ものたち」は、人の心、社会、世界など様々なものを意味している。
— 下田ひかり
本展は、2025年12月13日~2026年2月1日まで、軽井沢ニューアートミュージアムの1階ギャラリー2&3にて開催されます。
軽井沢ニューアートミュージアム:
〒389-0102
長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1151-5
Tel. 0267-46-8691
Fax. 0267-46-8692
時間:10:00 - 17:00
定休日:月曜
最終日:15:00まで